上野動物園の英語公式ページが古いまま

上野動物園の英語ページがお粗末な件」というエントリ(http://d.hatena.ne.jp/kuromimi/20130623)を書いた日に、Twitter東京ズーネットの公式アカウントが英語でツイートしていたので、

英語で情報を発信する意志があるのだと判断して「英語の情報が古すぎる」と英語で返信してみました。例として「『最後のパンダが2008年に死亡した』とあるがリーリーとシンシンの情報はないのか?」というのも添えてみました。思ったより早く「テキストを更新した」という返信がきましたが、修正後のページを見てみると

例として挙げたところしか変わってませんでした。

変更後のテキストです。

In its long history, Ueno Zoo has received numerous animals from abroad. In 1972, the first giant pandas arrived from China to Ueno Zoo. We have been cooperating with Beijing Zoo (China), San Diego Zoo (US), and Chapultepec Zoo (Mexico) for conservation and breeding of wild giant pandas. After Ling Ling's death in 2008, Ri Ri and Shin Shin arrived at the zoo in 2011.

これは最新の情報と言えるのでしょうか。北京動物園サンディエゴ動物園との協力関係は今も続いているのでしょうか? 続いていたとしても、今いるパンダの貸し出し元である中国のパンダ保護センターとの協力関係を強調すべきではないでしょうか。「After Ling Ling's death」というのも唐突だし、前後との関係がありません。この書き方では、リンリンが死亡したからリーリーとシンシンが来日したように解釈されるかもしれません。
その前に、この段落全体が何をいいたいのかよく分からないんですよね。最初のセンテンスのreceivedをどう解釈すればいいのか。単に海外から動物を「迎え入れる」のは当たり前すぎます。海外から動物を輸入しなかったら、日本在来の動物しか展示できません。国内の他の動物園から移動させるという手段もありますが。「もらった」と解釈するのであれば、次の「最初のパンダが1972年に来た」にもつながりますが、カンカンとランランは上野動物園に贈られたというよりは日本に贈られたんですよね? 段落の最後に書かれれている、リーリーとシンシンは「もらった」ものではありませんし。いずれにしても、「野生ジャイアントパンダの保護と繁殖を目指して北京動物園サンディエゴ動物園などと協力している」というセンテンスは脈絡がありません。この段落は「上野といえばパンダ」というテーマで書いたほうがよいのではないでしょうか。
この英語ページのユーザーは私のような英語を読める日本人ではなく、日本語を読めない外国人です。日本人にとって英語は外国語なのだから、ネイティブスピーカー並みに流暢に話せなくても、言いたいことが伝わればよいと思います。でもそれは会話の話です。こういう組織の公式サイトの文章はそうはいきません。英語の文法や綴りが正しいだけでなく、英米での作文技法に則って文章を書かないと、組織の知性が疑われてしまいます。日本人だからそこまでできないというのであれば、英語を母国語とするライターに委託すればよいのです。私が恥をかくわけではないので、どうでもいいことですが、東京都民としてはちょっと恥ずかしいかもしれません。公式サイトなのに2年以上更新されず、文章がなんだか支離滅裂で、不正確な記述が残っているわけですから。