サポートの目的

しばらく前に、名古屋市東山動植物園クラウドファンディングを利用してコアラのエサ代支援の呼びかけを始めたというニュースを見ました。
http://www.higashiyama.city.nagoya.jp/02_events/02_01events/20130116_koara.html
https://readyfor.jp/projects/higashiyama

100万円という目標金額を設定したところ、その4倍を超える金額が現時点で集まっているのは、趣旨の説明が明確であり、読んだ人に「是非支援したい」と思わせるものであるからだと思います。
このようなニュースを見ると比べてしまうのが地元の上野動物園ですが、2年前にジャイアントパンダが来日するにあたり、「ジャイアントパンダ保護サポート基金」というのが始まりました。http://www.ueno-panda.jp/support/によりますと、集まった支援金の使い道は

1 東京都と中国野生動物保護協会が共同で進める国際的なパンダ保護活動
2 ジャイアントパンダの保護に向けた普及啓発活動
3 上野動物園におけるジャイアントパンダの飼育環境の向上

となっています。*1
そして、平成23年度の決算報告(http://www.ueno-panda.jp/support/h23_kessan.pdf)によりますと、上記の3項目の支出額は

1 10,000,000円
2 頭骨レプリカ 189,000円
(以下略)

などとなっています。
東山動植物園コアラ応援プロジェクト」との一番の違いは、目的の具体性と、支援への反応の速さです。前にも書きましたが、「ジャイアントパンダ保護サポート基金」は、活動内容があまり明確ではありません。私も2年前、地元にジャイアントパンダが来るのであれば多少なりとも力になりたいと思い、「パートナー」のボードに名前のプレートが掲示される程度の金額は寄付しましたが、「サポート」しているという実感がさっぱりないんですよね。「ジャイアントパンダ保護サポート基金」と「サポーター」とのコミュニケーションもないし。クレジットカードで支払ったので、「受付完了いたしました」というメールはきました。あと、確定申告に使える東京動物園協会発行の領収書も一応きました(なぜか協会の所在地が書かれていなかったので、申告書を書くときに調べなければなりませんでしたが)。集まった支援金で何かを買ったら、一言報告してくれてもよさそうなものですが、本当に何もないんですよね。他のNPOがよくやっている「お友達にも知らせてください」とか「追加支援のお願い」とかもありません。それほどお金に困っているわけではないからだと思いますが、では何のためにやっているのでしょうか。パンダが来るから何かしなければということで、お飾りプロジェクトを立ち上げたのでしょうか? だいたい「パンダのゆめ」ってなんでしょう。夢のない質問で申し訳ありません。ちなみに、http://www.tzps.or.jp/pdf_files/plan_2011.pdf の61ページ目に「ジャイアントパンダ保護サポート基金運営委員会」の名簿と運営委員会の開催日が載っていますが、このメンバーが実務的なことをしているのではなさそうです。
上野動物園には「動物園サポーター」制度もあって、ジャイアントパンダを指定して資金を提供することもできます。こちらは「サポーターズデイ」のような催しもあるそうですが、それを聞くと、ますます「ジャイアントパンダ保護サポート基金」の存在意義がわからなくなってきます。私は名前をボードに掲示したいから寄付したわけではないのですが。でも、名前を掲示したい人も、中にはいるでしょう。法人の寄付なんて宣伝も兼ねているのだから、もっと目立つようにしてあげればいいのに、プレートは個人と同じというのはあんまりですよね。混んでいる時期は、ボードの前が立ち入り禁止になっていることもありますが、近寄れないようなボードならなくてもよいと思います。あれにかかる制作費や維持費ももったいないし。野生ジャイアントパンダを絶滅から救うという世界的な取り組みとの整合性のとれていない「サポート」に協力するのもどうかと思いますので、このままなら名前プレート掲示の更新はしないことにします。

*1:どういうわけか、この箇条書き部分が画像になっていてコピー&ペーストできませんでした。しかもaltテキストも付いていません。このようなアクセシビリティもへったくれもないWebページ、だれがデザインしたのだろう。